the concert report by Jean-Marc Luisada fan

コンサートリポート2001

 

2001年の来日について

1999年に、『ジャン=マルク・ルイサダ・トリオ』のメンバーとして来日された、ローラン・コルシアさんとのデュオ・コンサートがメインだった2001年の来日公演でした。
リサイタルは、狛江での1回だけ…というのが寂しかったですが、トリオに続いてデュオ、それも、フランスではもう長く組んでいらっしゃるお二人の…という訳で、ルイサダ先生の室内楽の名手…という面を見せていただいた…という気がしました。
ピアノトリオでもデュオでも、ルイサダ先生の名手振りは素晴らしく、それまで室内楽に抱いていた美しいけれど少し地味…という印象は、払拭されました。
それと同時に、“繊細”で“優しく”“美しい”…というルイサダ先生の演奏のイメージに、新たに、“カッコ良く”“男っぽい”…というイメージが加わり、ますます魅せられることになったのでした。

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リサイタルin狛江 11月26日日曜日(♪)

デュオ・コンサートwithローラン・コルシアin王子ホール 12月6日木曜日(♪)

リサイタルin狛江 11月26日日曜日
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今回の来日の唯一のリサイタルを聴きに、狛江エコルマホールに行ってきました。
駅前のこじんまりとしたホールで、ピアノを聴くには、丁度いい広さでした。
プログラムは、告知されたものとは、少し変わっていました。

第一曲目は、ハイドンのピアノソナタ第6番ト長調
第二曲目は、同じくハイドンの幻想曲ハ長調
これらは、新鮮で、活き活きとした、繊細な美しさをたたえたもので、それでいて、古典の枠からはみ出している…ということはありません。
私が今まで持っていたハイドンのピアノ曲に対するイメージは、一新されました。
その音の美しさ、音楽のあたたかさに、始めから、ウルウルしてしまいました。
(CDが発売されていますので、興味のある方は、是非、お聴きになってみてください。)

第三曲目は、プログラムにあった、
モーツアルトのピアノソナタ11番イ長調「トルコ行進曲つき」でした。
有名な曲にも関わらず、何もかもが新鮮で聴いているうちにドキドキしてしまうような、どこかに連れていかれそうな、そんな演奏でした。
このソナタは、ヤマハのミュージックデータでルイサダ先生の演奏のものが大分前に発売されているのですが、その頃よりもずっとずっと、音楽が深く大きくなっていて、本当に、ジャン=マルク・ルイサダというピアニストは、天才ではなく奇跡的な存在なのではないか…と思ってしまいました。

後半は、シューマンのアラベスクと、同じくシューマンの謝肉祭でした。
アラベスクは美しい曲ですが、やはりどこかにシューマンの難解さがある曲だと思っていましたが、今日の演奏を聴いていると、そういった気難しさは、全く感じません。
この曲の演奏は大分前にも聴いたことがあったのですが、そして、その時も素晴らしいと思ったのも覚えているのですが、今日の演奏は、それとは比べものにならないくらいに素晴らしかったのです。

最後の曲、謝肉祭も、今まで聴いた以上にクリアに、謝肉祭の世界が描き出されていました。
前にも何度も聴いて感激した曲なのにも関わらず、今日また、始めて聴いたように思えるほど感激しました。
何よりも、1曲1曲の意味が、おそらくシューマンが意図したであろうように伝わってくるのです。
…というよりも、ピアノによって描き出される謝肉祭を経験したような気持ちです。
本当に、一体どこまで凄いピアニストなんでしょう!
やはり、奇跡的な存在です!!

アンコールは、ショパンのマズルカとスケルツォ第二番、それに、フォーレのノクターン第二番でした。
どれもこれも素晴らしく、美しく、優しく、大きな演奏でした。
どれだけ言葉を尽くしても、語り尽くせない気がします。

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デュオ・コンサートwithローラン・コルシアin王子ホール 12月6日木曜日
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1996年に、フランスのクールシュベールで、ローラン・コルシアさんというヴァイオリニストの存在を知った時から、いつか日本で、ルイサダ先生とのデュオを聴くのが、私の夢でした。
…という訳で、王子ホールでのこのコンサートは、一昨年のトリオに引続いて本当にとっても楽しみにしていたものでした。
しかも、プログラムには、大好きなフォーレもあって、席は、1番前…。
始まる前から、すっかり気合が入っていた私です…。 (;^_^A

ルイサダ先生の演奏の魅力は、音楽の生命感や美しさ、繊細さ、そして優しさ…だと思います。
一方、コルシアさんの演奏の魅力は、何と言っても、音にも音楽に勢いと艶があること、そして、からだ全体からほとばしるようなエネルギーです。
RCAから出ている、『ツィガーヌ』というアルバムを聴かれたかたなら、きっとコルシアさんの魅力がお分かりになることと思います。
そして、お二人に共通するのは、音楽が洗練されていることと、あらゆる意味での、音楽の展開が速く、聴く人を、音楽に引き込む力が強い…ということでしょうか…。
音楽への愛情の深さも、共通して感じられるものです。

最初の曲、ショーソンの「私たちの思い出」では、このお二人の演奏家の音楽への愛情のようなものを、強く感じました。
音楽が温かく、それでいて洗練されています。
決して、大曲ではないのですが、あっという間に、お二人の音楽の世界に引き込まれてしまいました。
つづく、フォーレの『子守唄』では、ますます優しく美しく、でも、あくまでも粋に、音楽が流れていきます。
そういった、音楽の世界に、聴衆が引き込まれている手応えを、お二人共が演奏しながら感じ、それを楽しんでいるような…、そんな風にも思いました。
フォーレのヴァイオリンソナタでは、二人の天才的な演奏家の、ステージ上での真剣勝負とも言える演奏に、ひたすら心を奪われました。
時に甘く、時に激しく絡み合い、対立する、ヴァイオリンとピアノとの対話。
それは、クライマックスに向けて、演奏の均衡が崩れるかと思うほどのエネルギーを伴い、ぶつかり合いせめぎ合いながら進んでいきます。
息が詰まるような緊張感を持ったクライマックス!
そのクライマックスを経て、音楽は、高らかに幕を閉じ、その瞬間に、私は、あまりにも強く、音楽の世界に引き込まれていた…という事に気づきました。

スリリングなデュオの後には、ルイサダ先生のソロで、フォーレのノクターン第2番。
この曲は、先日の狛江でも演奏されていらっしゃいましたし、私が、フランスでレッスンを受けた曲でもあります。
ちょうど、それは、フォーレのノクターンを録音される少し前だと思いますが、その頃と比べて、ルイサダ先生の演奏は、少しずつ変化してきているように思いました。
これは、コルシアさんとのデュオの影響でしょうか…。
それとも、新しい何かを、曲の中に見つけられたのでしょうか…。
フォーレの楽曲に多用されている、旋法を伴う多声のラインを、その個性も含めて自在に描き出し、私たちが気付かないフォーレの魅力を見せてくれる…という感じの今の演奏には、この先、ますます魅力的になりそうな予感も感じられて、ワクワクしてしまいます。
明瞭になった分だけ、心ふるえるような親密さ…というものが少なくなってしまったように感じられたのが、ほんの少しだけさみしい気もしましたが、それは、優しさや美しさに、ノーブルな魅力が加わった…という事でもあるように思いました。

ルイサダ先生のソロが終ると、前半の演奏が終りました。
休憩時間には、以前の演奏会でお目にかかった方と、お話する機会もあり、感動を共有できたのは、嬉しかったです。

後半は、コルシアさんのソロ、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 “バラード”Op.27-3 」です。
この曲は、記憶違いでなければ、大分前にCDを購入して聴いていたのですが、生で聴くのは初めてでした。
緊張感のある、おそらくヴァイオリンの魅力を最大限に引き出す為に、ヴァイオリンの名手イザイによって書かれたこの曲を、コルシアさんは、弓が弦に、毛一本しか触っていないのではないか…と思えるほどの弱音(というよりも微弱音)から、渾身のフォルテ(それは、殆ど、飛び上がらんばかりの熱演?でした)までを、まさに全身で演奏してくださいました。
演奏している…というよりも、コルシアさん自身が、音楽そのもの…のような気さえしたくらいです。
日本では、まだ、あまり知られていないヴァイオリニストですが、おそらく、その演奏を聴いたら、誰でもが、一遍で、その演奏のカッコ良さに、ファンになってしまうでしょう。
ルイサダ先生と同じくらい、推薦したい演奏家です。

最後の2曲は、またデュオです。
イザイの「子供の夢」は、先ほどの作品とは、打って変わって、素直な作風の作品です。
演奏も、とても伸びやかで、おそらく、会場にいたすべての人を幸せにしたのではないか…と思います。
そうして、フランクの「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」!
コルシアさんのパワーとルイサダ先生の美意識が完全に一体となった、力強くも美しい、そして、気高くて温かい、パワー溢れる洗練とでも言うべき演奏で、このデュオの為にある作品のように、それぞれの魅力が最大限に発揮されている感じがしました。
それまでの他の演奏以上に強く引き込まれました。
引き込まれた…というよりも、巻き込まれた…と表現した方が良いくらいかも知れません。
そのくらい、強い力で音楽は、邁進していました。
私がフランクの楽曲に少しだけ抱いていた、「退屈」とか「無骨」という印象は、みじんもありません。
むしろ、スリリングで洗練されていて、カッコイイ音楽でした。
それは、会心の演奏だったであろう事が、演奏が終った瞬間のお二人の様子からも伺えました。
ステージと客席とが一体となった、この上なく幸せな時間に、その現場に居合わせることができた喜びを、本当に、強く強く感じたと同時に、幸せな時間が終るのが速いのが、なんとも残念でたまりませんでした。

アンコールには、イザイの「子供の夢」が、再び演奏されました。
先ほどの演奏以上に息が合った、そして、心なしかリラックスした感じもあって、ますます伸びやかな、楽しい演奏でした。

8日の、宮崎公演に行かれないのが、本当に残念だと何度も思いました。
来年のCD発売が、本当に楽しみです。

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